大統領選挙まで数日も残っていない。新しい国政秩序を望む有権者の熱望に応えるという候補らの遊説が最終段階に入った。主要候補らが発表した公約を見ると、北朝鮮の核開発およびミサイルに関連する外交安保問題を除けば、断然、経済部門の公約が多い。雇用創出、財源調達および増税の有無、財閥改革などが中心になっている。
内容を見ると、まず我々の社会と経済現実に対する進歩・保守陣営間の深刻な見解の違いが感じられる。もう一つの特徴は対外部門、すなわち国際貿易と国際金融政策に関する公約があまり見えない点だ。
この半世紀の間、韓国は貿易を通じて経済発展を遂げ、今は証券市場と為替市場が完全に開放されている。実際、1970年代以降、韓国経済は世界経済の大小の事件から自由でなかった。2回の石油ショックとスタグフレーションの記憶があり、最近ではグローバル金融危機を経験した。特に過去数回の大統領選挙の前後に海外金融市場が深刻に混乱し、韓国経済が根本から揺れた。
1997年11月の韓国政府の救済金融申請直後、国際通貨基金(IMF)は救済金融の反対給付である経済改革について、主要大統領候補の履行保証を要求した。2007年には有力な大統領候補陣営が韓国経済は長期的に高成長が可能だというバラ色公約を掲げたが、結局、一寸先に迫っていたグローバル金融危機の気配を感じていなかったという評価だけが残った。
結局この数十年間に我々が学んだ教訓は、どの政府でも国内経済を率いる確固たる哲学に劣らず、対外部門で発生する衝撃を予想して対処できる鋭い洞察力と方策が必要だという事実だ。ひとまず外部で危機が発生すれば、熱心に準備した計画と政策が一瞬にして無用になるというのが、開放経済の中で生きる我々の宿命であるからだ。
このような観点で見ると、今どの分野が問題だろうか。幸い、今の対外環境は1997年や2007年と比較すると平穏だ。にもかかわらず、いくつか必ず備えるべき分野がある。まず気になるのがトランプ米大統領の突発的な態度だ。北米自由貿易協定(NAFTA)に続き、韓米自由貿易協定(FTA)に手をつけるという。今はFTA議論を製造業に限定して有利か不利か問いただす世の中でない。広範囲なサービス産業はもちろん、未来の第4次産業革命に関する議題まで登場するだろう。次期大統領は第4次産業革命が国内で花を咲かせる前に、米国企業が主導した分野の研究開発費用の請求書から受けることになる可能性がある。
その次は為替レート政策だ。中国人民元は絶えず国際化を追求する。日本は円安という、いわゆる近隣窮乏化政策をモットーにしている。さらに米国大統領は各国の通貨の為替レートにあれこれと口を出している。果たして韓国はどんな目標を念頭に置いて対処するべきか心配だ。もちろん外の世界に危険要素だけがあるわけではない。例えば現在進行している東アジアおよび豪州地域のファンド販売標準に関する議論を我々に有利な形で終えれば、数万人の雇用が関連産業で創出される可能性もある。経済内部の分配のための公約ほど、対外経済政策では知恵と意志が重要だ。
幸い、国際経済専門家が韓国政府と学界、業界に数多く布陣している。誰が大統領になろうと、陣営論理を離れて専門家が知識と経験を十分に発揮するよう支援しなければいけない。一つに団結した大韓民国の経済が外部の衝撃に勝ち、新しい成長触媒を探す道であるからだ。
チョ・ホンレ/韓国投資信託運用代表取締役
内容を見ると、まず我々の社会と経済現実に対する進歩・保守陣営間の深刻な見解の違いが感じられる。もう一つの特徴は対外部門、すなわち国際貿易と国際金融政策に関する公約があまり見えない点だ。
この半世紀の間、韓国は貿易を通じて経済発展を遂げ、今は証券市場と為替市場が完全に開放されている。実際、1970年代以降、韓国経済は世界経済の大小の事件から自由でなかった。2回の石油ショックとスタグフレーションの記憶があり、最近ではグローバル金融危機を経験した。特に過去数回の大統領選挙の前後に海外金融市場が深刻に混乱し、韓国経済が根本から揺れた。
1997年11月の韓国政府の救済金融申請直後、国際通貨基金(IMF)は救済金融の反対給付である経済改革について、主要大統領候補の履行保証を要求した。2007年には有力な大統領候補陣営が韓国経済は長期的に高成長が可能だというバラ色公約を掲げたが、結局、一寸先に迫っていたグローバル金融危機の気配を感じていなかったという評価だけが残った。
結局この数十年間に我々が学んだ教訓は、どの政府でも国内経済を率いる確固たる哲学に劣らず、対外部門で発生する衝撃を予想して対処できる鋭い洞察力と方策が必要だという事実だ。ひとまず外部で危機が発生すれば、熱心に準備した計画と政策が一瞬にして無用になるというのが、開放経済の中で生きる我々の宿命であるからだ。
このような観点で見ると、今どの分野が問題だろうか。幸い、今の対外環境は1997年や2007年と比較すると平穏だ。にもかかわらず、いくつか必ず備えるべき分野がある。まず気になるのがトランプ米大統領の突発的な態度だ。北米自由貿易協定(NAFTA)に続き、韓米自由貿易協定(FTA)に手をつけるという。今はFTA議論を製造業に限定して有利か不利か問いただす世の中でない。広範囲なサービス産業はもちろん、未来の第4次産業革命に関する議題まで登場するだろう。次期大統領は第4次産業革命が国内で花を咲かせる前に、米国企業が主導した分野の研究開発費用の請求書から受けることになる可能性がある。
その次は為替レート政策だ。中国人民元は絶えず国際化を追求する。日本は円安という、いわゆる近隣窮乏化政策をモットーにしている。さらに米国大統領は各国の通貨の為替レートにあれこれと口を出している。果たして韓国はどんな目標を念頭に置いて対処するべきか心配だ。もちろん外の世界に危険要素だけがあるわけではない。例えば現在進行している東アジアおよび豪州地域のファンド販売標準に関する議論を我々に有利な形で終えれば、数万人の雇用が関連産業で創出される可能性もある。経済内部の分配のための公約ほど、対外経済政策では知恵と意志が重要だ。
幸い、国際経済専門家が韓国政府と学界、業界に数多く布陣している。誰が大統領になろうと、陣営論理を離れて専門家が知識と経験を十分に発揮するよう支援しなければいけない。一つに団結した大韓民国の経済が外部の衝撃に勝ち、新しい成長触媒を探す道であるからだ。
チョ・ホンレ/韓国投資信託運用代表取締役
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