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「日本を克服した」ノーベル文学賞の日系イシグロ氏が描いた「少女AI」

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

カズオ・イシグロ氏の新作長編『クララとお日さま』韓国語版。[写真 ミンウムサ提供]

日本を克服した日系作家。

2017年ノーベル文学賞受賞者である日系英国人カズオ・イシグロに対するフィナンシャル・タイムズ(FT)の27日(現地時間)の記事を要約するとこうなる。イシグロ氏は1954年に長崎で生まれて5歳のときに英国に移住した。母親から長崎原爆の経験を聞きながら成長したイシグロ氏にとって日本は悩みの対象だった。日本の大型書店にもイシグロ氏の本は海外小説コーナーの本棚に分類される場合がほとんどだ。先月出版された『クララとお日さま』は29日、韓国でも翻訳出版された。

韓国で最も良く知られているイシグロ氏の作品はアンソニー・ホプキンスとエマ・トムソンが主演した映画『日の名残り(The Remains of the Day)』の同名原作小説だ。第2次世界大戦を控えて英国のある貴族がドイツに対して間違った判断を下して没落していく過程で、邸宅を取り仕切る執事と女中頭の物語を描いた。日本は全く登場しないが、戦犯国ドイツを描く過程で、イシグロ氏の日本に対する悩みの一端をうかがい知ることができる作品だ。


FTは27日付の記事で、イシグロ氏に対して「本来の根拠地(日本)から追い出された(deracinated)」作家だと表現し、「イシグロは若いころ、『私は日本について書かなくても生き残ることができるかどうかを深く考えた」と伝えた。イシグロ氏が一部の作品で日本人を主人公に据えて日本関連の経験を描いたが、FTは「日本はイシグロにとって推測と想像の場所だった」と書いた。

イシグロ氏は2017年、ロイターとのインタビューで「英国で成長して教育を受けたが、私の世界観と芸術観は日本人の両親から影響を受けた」と話したことがある。イシグロ氏が体験したアイデンティティの混乱は個人と社会および世界の関係に深く掘り下げる契機になった。

そのようなイシグロ氏を大文豪の地位に引き上げたのは、イシグロ氏が日本というルーツを克服して人間の本性に深く入っていったからだという評価が支配的だ。ノーベル委員会はイシグロ氏に文学賞を授けて「感情の偉大な力を見せて、世界と私たちがつながっているという幻想にすぎない感覚、その根底に流れている深淵を表わしている」と説明した。

今回の新作はイシグロ氏がノーベル文学賞受賞以降に出した初めての長編小説だ。今回は人工知能(AI)の世界を描いている。近未来の米国を背景に、AIの少女ロボットであるクララと人間の少女ジョジーの関係を描く。NYTは先月の長文のレビューで「イシグロが今回は未来の話に戻った」とし「技術が支配する時代、人間のこの上なく弱い面を最も奥深く見る観察者としての立ち位置を改めて強固にした」と絶賛した。



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