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【コラム】政府は否定するが、あちこちで経済危機の兆候=韓国(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
◆度が過ぎる労使紛糾と勤労時間短縮

国家信頼度も急激に悪化する可能性が高い。成長率が低下して税収が減る一方、高齢化で福祉需要は増え、財政赤字と国家負債の増加が予想されるからだ。実際、企画財政部の「2019-2023国家財政運用計画」によると、現在773兆ウォンの国家負債は2023年には1000兆ウォン以上に増え、国家債務比率も46%を超える。国家財政の健全性が悪化すれば、経済は南欧や南米のように危機に露出しやすい。中国に依存した貿易構造も問題だ。輸出は韓国経済を支える軸であるからだ。政治と安全保障の不確実性が高まり、内需が増えにくい構造が定着するのも問題だ。輸出は成長率を高めて経済を安定させる最も重要な要因だが、輸出で中国と香港が占める比率は35%にのぼる。米中貿易紛争で中国景気が減速する場合、輸出が急減し、経済は危機を迎えるかもしれない。

企業の問題も懸念される。韓国企業は対外的には中国の追撃で競争力が低下し、対内的には賃金引き上げと労使紛糾、そして勤労時間短縮で費用が増え、四面楚歌の状態だ。まだ営業利益を出しているが、景気沈滞が長期化すれば損失の発生が予想される。政策手段も限られている。特に通貨政策はジレンマに陥っている。景気を浮揚するためには金利を下げるべきだが、利下げは不動産価格を高め、資本の流出も誘発しかねない。また、韓国ウォンは国際通貨でないためグローバル通貨戦争で不利だ。国際通貨を持つ先進国は量的緩和政策で自国通貨安に誘導し、輸出を増やすことができるが、韓国は国際通貨を持たないため通貨安にするためには為替操作国指定リスクが高まる市場介入しかないからだ。政府は「韓国経済は問題ない」と繰り返しているが、構造を見るとあちこちで危機が感知されている。


◆金融安定指数はすでに「注意」段階

韓国銀行(韓銀)は金融安定指数(FSI)を通じて正常・注意・危機の3つの段階で危機信号を発表している。FSIは3月から高まり始め、8月には8.3と「注意」段階に入った。韓国経済は現在「注意」段階だが、今後本格的な「危機」段階に入るのを防ぐため、政策当局はまず需要中心の成長戦略を供給中心に転換しなければいけない。

雇用が増えないなどの韓国経済の問題点は需要側面の要因よりも産業競争力の低下という供給側面にあるからだ。輸出競争力が低下し、主力産業の構造調整で雇用が減少している。

雇用を増やして景気を浮揚させるためには産業競争力の確保が優先されなければいけない。このためには新技術開発のための専門家養成と技術開発に対する政府の積極的な支援が必要だ。新産業政策で勝負するということだ。最近、政府も執権後半期の経済政策の焦点を素材・部品・装備産業開発に合わせると発表した。しかし政策が成果を出すためには具体的なロードマップが求められる。歴代政権のようにスローガンだけで終わり具体的な実行をしなければ産業競争力を高めることはできない。カギは輸出だ。輸出減少で経常収支が悪化すると韓国経済は危機局面を迎える。中国に依存した輸出構造を多角化し、輸出企業に各種インセンティブを与えて輸出が急減しないよう管理することが重要だ。

資本市場が開放された国は常に経済危機の危険に露出している。特に国際通貨を持たない新興市場国は資本流出による通貨危機のリスクを抱えている。このため社会主義国家は資本自由化を避けようとする。米中貿易戦争も中国の資本自由化と関係がある。

韓国経済は今のような状況が続いて長期沈滞局面に入れば、危機を迎える可能性が高い。韓国経済が危機から抜け出すために政策当局は政治と安全保障の不確実性が経済に及ぼす衝撃を最小化しなければいけない。新産業政策を使って産業競争力と輸出競争力を高める必要がある。このように対応すれば、韓国経済は長期沈滞リスクから抜け出し、危機を迎えず持続的に成長ができる。


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