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【時視各角】トランプがノーベル平和賞を受賞する理由

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
間もなく開かれる米朝首脳会談が成功して韓半島(朝鮮半島)に非核化と平和が実現した場合、今年のノーベル賞委員会が平和賞を与えるだろう人物は間違いなくドナルド・トランプ大統領だ。米国大統領史上初めて北朝鮮に本物の飢えと恐怖を抱かせて交渉の場に出てこさせたためだ。昨年冬、北朝鮮エリート層が集まって居住している平壌(ピョンヤン)のアパートで、インフルエンザによって亡くなる高齢者が続出した。

制裁によって燃料の供給が切れ、オンドルを稼働することができなかったためだ。北朝鮮は韓国側に「薬をくれ」と哀願した。韓国側は転用問題を避けるために年内に使用期限が切れる有効期間1年間のタミフルを緊急支援した。また、2月の平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック(五輪)に参加した北朝鮮アイスホッケー選手団はスケートを持ってこずにやってきた。「制裁で経済的に苦しいので、南側がこれを見て判断して支援してほしい」というメッセージだった。韓国側は北朝鮮の気持ちをくんで、米国製ではなくカナダ製のスケートを支給した。北朝鮮選手団は競技が終わった後、帰国のときにスケートは宿舎に置いておくことで「自尊心」を守った。

トランプ発の制裁による北朝鮮の苦痛はこのように途方もなく大きい。特に、体制の砦(とりで)である人民軍の士気の低下が深刻だ。全国各地で武装脱営兵が続出し、平壌以外は安全地帯がないのが実情だという。もっと大きな問題は、軍の核心である高位将軍の士気低下だ。金正日(キム・ジョンイル)と金正恩(キム・ジョンウン)は将軍らに機会があるごとにベンツなどのぜいたく品を与える「贈り物政治」で「先軍政治」を行ってきたが、最近の制裁でぜいたく品の搬入が全面的に中断され、「軍心」が亀裂の兆しを見せているためだ。


トランプは金正恩に飢えに続き死の恐怖も抱かせた。昨年9月23日夜、平壌を絨毯(じゅうたん)爆撃できる戦闘爆撃機「B1-Bランサー」(死の白鳥)を、休戦後初めて北方限界線(NLL)の北側に出撃させて北朝鮮の鼻の先を飛行させた。老朽化したレーダーのせいで、人民軍がこの白鳥の存在を感知できないとみると、米国はこの事実を公開して平壌の肝を冷たくさせた。さらに驚くことに、「死の白鳥」のNLL越境飛行は、その当時、6回以上も実施されたということだ。北朝鮮はこの事実も全く把握できずにいたが、あとになって中国から伝え聞いて青ざめたという。当時、平壌を訪れたロシア外務省の要人は「会った高官が『本当に恐怖を感じる』と言って震えていた」とモスクワに報告した。

歴代米国大統領は北朝鮮に何かしようとしても中国が止めれば退くのが常だった。しかし、「ワシントン文法」を一切無視する「外交組織暴力」トランプは違った。習近平主席に「あなたが北朝鮮と闇取り引きする中国企業を野放しにしておくのなら私が直接手を加える」と脅迫した。驚いた中国は、北朝鮮に前例のない鋭い制裁の刀を抜かざるをえなくなった。昨年、歴代級のミサイル発射と核実験で韓半島(朝鮮半島)を韓国戦争(朝鮮戦争)以来、最大の危機まで高めた金正恩が、突然手のひらを返すようにして態度を変えて対話に臨むようになったのは、全面的にトランプが指揮して中国が執行した「飢餓と恐怖」作戦のためだ。北朝鮮の非核化が実現されればトランプがノーベル平和賞を取る資格がある理由だ。

韓国与党と進歩陣営は、太陽政策ではなくトランプの鉄拳圧迫が北朝鮮の劇的な変化を引き出した事実から教訓を得なければならない。幸い、文在寅(ムン・ジェイン)大統領はそのような道理を知り、ワシントンと些細な情報まで共有してトランプの強硬策と歩調を合わせた。その結果、北朝鮮は降参するほかなくなり、文大統領は史上初めて韓国の地で金正恩と首脳会談をする「大当たり」を引いた。今後も韓米は対話に力点を置きながらも、制裁の手綱は緩めてはならない。それでこそ北朝鮮から真の非核化を引き出すことができる。そしてトランプがノーベル平和賞を取り、文大統領も授賞台に一緒に立つその日が早く来ることを期待したい。

カン・チャンホ/論説委員



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