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文大統領がアグレマン承認した人事…米国、韓国に言質なく撤回決定

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

米戦略国際問題研究所(CSIS)韓国部長のビクター・チャ氏

アグレマン(駐在国の任命同意)まで進んでいた駐韓米国大使の内定者がホワイトハウスの終盤の決定で人事が撤回されるという初めての事態が発生した。

先月30日(現地時間)、米紙ワシントン・ポスト(WP)は「駐韓米国大使に内定していたビクター・チャ氏〔米戦略国際問題研究所(CSIS)韓国部長〕が昨年12月末、トランプ政府の北朝鮮政策に対して個人的異見を表明した後、大使指名を期待できなくなった」と報じた。

米政府は昨年12月中旬、約6カ月間の協議の末に、ビクター・チャ氏に対するアグレマンを韓国政府に要請した。韓国政府は速かに手続きを進めて12月末にアグレマンを承認し、後はホワイトハウスの公式指名発表を残すのみの状態だった。


今回の決定は、別の見方をすれば文在寅(ムン・ジェイン)大統領および韓国政府が公式承認したアグレマンを打ち捨てたとも解釈することができる点で大きな波紋が予想される。その上、米国側はメディアには撤回の事実を知らせながら韓国外交部や駐米韓国大使館には関連内容を一切伝えなかった。「固有の他国人事権のため」〔青瓦台(チョンワデ、大統領府)関係者〕という解釈もあるが、両国がアグレマンまでやりとりした人事を米国が電撃的に撤回したことで、一切の相談がなかったことに対する欠礼問題も提起される。

一体、何が起きたのだろうか。アグレマンが承認された後、緊迫した状態で動いていた1カ月間の事態の転末を複数の核心関係者の伝言に基づいて整理してみる。

先月16日、ワシントンを訪問した林聖男(イム・ソンナム)外交部第1次官がビクター・チャ氏に会った。この時ですら撤回は夢にも思わないことだった。「早く指名発表をしてほしい。そうしてこそ上院の承認を経て2月9日の平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック(五輪)開幕以前にビクター・チャ氏が赴任できる」。林次官はワシントンで米政府関係者に会うたびにこのように急き立てた。すでに駐米大使館では、承認案が上院に提出された場合、速かに処理されるように議会側を説得する作業を同時進行していたところだった。

だが、米国側は中途半端な反応で一貫した。異常な雰囲気が広がった。

先月24日午後、焦りを隠せなかったビクター・チャ氏はマーク・リッパート前駐韓大使ら知人に電話をかけた。「いったい私はどうなっているのか。どうすべきなのか」。

このころ、当初の検証段階では見つからなかった講演料収入や駐韓大使業務に支障を与えうる韓国企業からの後援が確認された等の未確認情報が出回った。ビクター・チャ氏の後見人格にあたるレックス・ティラーソン国務長官と葛藤関係であるハーバート・マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)が終盤でひっくり返そうとしているという話も出てきた。

この時、ビクター・チャ氏と親しいリッパート氏はこのように忠告したという。「今後2週間がカギだ。その時までにホワイトハウスから連絡がなければ『自主辞退する』と言ったほうがいい。引き止めれば(大使に)なれるが、でなければ終わりだ」と述べたが、2週間を待たずしてビクター・チャ氏に対する人事撤回は既成事実になった。

WPが挙げた撤回背景は大きく3つだ。第一に、北朝鮮政策での異見だ。ビクター・チャ氏がホワイトハウス国家安保会議(NSC)チームと北朝鮮に対する「制限的打撃」をめぐり葛藤があったという。NSCは制限的攻撃の必要性を主張する反面、ビクター・チャ氏はこれに反対したという。実際、ビクター・チャ氏はWPの報道が出てから約4時間後、まるで準備でもしていたかのようにWPに「北朝鮮に対する鼻血(bloody nose)戦略は米国人にとって途方もないリスク」というタイトルの寄稿をした。

第二に、韓米自由貿易協定(FTA)の廃棄を迫るトランプ氏の戦略に反対したためという分析だ。第三に、終盤に明るみになった「検証上の欠陥」だ。WPは指名過程をよく知る消息筋を引用して「検証過程でビクター・チャ氏が大使職を遂行できないと判断させたレッドフラグ(危険信号)が出てきた」とした。だが、その内容は明らかにしなかった。

現在は、ビクター・チャ氏本人が口を閉じていて、ホワイトハウスも特別な立場を出していないため正確な真相は分からない。ビクター・チャ氏に代わる候補としては、ウォルター・シャープ元在韓米軍司令官(予備役大将)やマーク・ナッパー大使代理などが挙げられている。



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