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【BOOK】「国家の私生活」 南北統一の5年後には…



ある日突然、韓国と北朝鮮が統一される。大韓民国が朝鮮民主主義人民共和国を吸収統一したのだ。それから5年後。

詩人兼小説家のイ・ウンジュン氏(39)の長編小説『国家の私生活』(民音社)はその「5年後」の統一韓国を描いている。小説の中の時間背景は2016年、季節は今と同じ4月だ。どんな姿を想像するだろうか。イ・ウンジュン氏は「最悪のシナリオ」を提示する。まず統一政府は、短ければ10年、長ければ13年服務した‘戦争機械’の人民軍120万人を急いで解散させたが、これが大事故となる。同胞愛を後回しにし利潤追求が最優先の韓国資本家にとって無能な労働者にすぎない人民軍が、土匪や馬賊、都市貧民、暴力団に転落する。大量の旧型武器で武装したまま。政府は北朝鮮人民の住民登録化にも失敗する。敵のない‘大砲人間’が量産される。こうした中、韓国は莫大な統一費用を処理できず、可能性のない3等国家へ向かう。


ここまでくると小説の題名の意味も見えてくる。国家とは、民意を基礎にしたものであれ、上辺だけのイデオロギーであれ、ある社会が追求する価値体系の実現のために時間と資源の使用を企画する全体であるはずだ。小説は、国家の裏に隠された私生活、韓国住民と北朝鮮人民の実際の生活に目を向ける。誰も正当性を疑わない統一が実現された時の韓国の姿を、イ氏は登場人物の言葉を使って警告する。北朝鮮最高位層の娘が異色の快楽を追求する韓国実力者のための売春婦に堕落し、人民軍最精鋭戦士が単なるチンピラに転落する状況が来るかもしれないということだ。その時、祖国や民族という主張は中身のない修辞にすぎない。

イ氏はわれわれの小説史に前例がないほど‘セクシー’な話を‘フィルムノワール’のように解いていく。1級ルームサロンを満たす北朝鮮美女、これをを運営する人民軍出身の暴力団員が主要登場人物だ。このため暴力が乱舞する序盤部、小説は映画を見るように興味深い。詩人特有の含蓄的な文章も目を引く。たとえばイ氏はある瞬間、「純真な者は他人も自分と同じように行動すると勘違いする部類、純粋な者は他人が自分と同じように行動してこそ正しいと怒る部類」と定義している。

ヒントを一つ。速いペースで読んでいた小説がだんだん時間がかかるようになってくると、「この小説は映画のようだ」という考えは変えなければならない。イ氏は‘本格文学’作家だ。14日の記者懇談会で「強くて重いテーマを伝えるために、ノワールにブラックコメディ・メロー・スリラー、若干のアクション、推理コード、童話などの要素を選択して取り入れた」と述べた。

いわば小説はただのノワール映画ではないのだ。

イ氏は言う。「10年間にわたり軍生活した北朝鮮の人たちが隣人の状況を想像してみたことがあるだろうか」。 小説はそれに対するイ氏の仮想回答だ。



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